- ペンギンも飛ぶ?
- ペンギンの祖先は空を飛ぶこともあった?
空を飛ばないことで有名な生き物、ペンギン。
しかしペンギンも立派な鳥類です。
なぜペンギンは飛ばなくなったのか。本当にペンギンは飛べないのか?
気合いいれたらペンギンだって、空を飛べるんじゃないの?
いやいや、今の時代のペンギンは飛べなくとも、ペンギンの祖先は大昔、飛んでいたんじゃないの?
よちよち歩きのペンギンを見て、誰もがそんな空想を広げますよね。
そこで今回は、ペンギンが飛べるかどうか。
そしてペンギンの祖先が飛べたかどうかを調べてみたので、以下を参考にしてください!
ページの目次
ペンギンも飛ぶ?
現代生きているペンギンは、飛べません。
コレだけは最初にしっかりとお伝えしておかなきゃいけませんね。
皇帝ペンギンもフンボルトペンギンも、空は飛びません。
彼らは南半球の陸地や氷の上を、2足歩行で歩いて生活しています。
たるのような体に、ヒレのような羽は、飛ぶことや歩くことには不向きですが、飛べる構造ではないんですよね。
その代わり、ペンギンは水中で食料を取るために、泳ぐことにとても特化しています。
ペンギンの祖先は空を飛ぶこともあった?
ペンギンの祖先は空を飛んでいたかどうか。
しばしば大人でも想像してしまいますよね。
水族館に行けば、当然子供に質問されます。
「ペンギンは昔空を飛んでいたの?」
その質問には「イエス!」と答えましょう。
そう、ペンギンの祖先は、普通の鳥たちと同じように空を飛んでいました。
ペンギンも普通に飛べた時代があったのです。
そもそも約1億2000万年前に、ペンギンは北半球にも多く生息していました。
増えた仲間をしたがえて、えさの豊富な外敵の少ない南半球まで、空を飛んで移動して北という歴史があるんですよ。
北半球から南半球まで空を飛んで移動していたくらい、力強い羽ばたく力があったんですね。
今のペンギンの樽っぽい体つきは、泳ぐために進化したもの。
空を飛んでいた時代のペンギンはきっと、もっとスリムで体重も軽かったことでしょう。
ペンギンはなぜ、空を飛ばなくなったの?
1億2000万年前までは、北半球から南半球までの長い距離を飛んでいたペンギン。
一体なんで、現代のような樽体型になっちゃったんでしょうか。
空を飛んでいた頃のペンギンは、どんな体型だったのでしょうか。
空を飛んでいた頃のペンギンの体型
まず、1番気になる体型から調べてみました。
ペンギンが空を飛んでいた頃は、もっとスリムだったかどうか。

答えは「イエス」です!
しかし最古のペンギンの化石は、1億2,000万年前ではなく、2300万年前の漸新世のもの。
漸新世のペンギンの化石は、ニュージーランドで発見されています。
漸新世…つまり、2300万年前ほど前の、ニュージーランドで発見されたペンギンの祖先の名は「カイルク」。
ゲームなどでたびたび登場するため、名前はそこそこ知れ渡っています。
この頃のペンギンは、現代のペンギンに比べると格段にスリム。
やっぱり昔はやせていたんです!
そして切れ長な顔つきに、鋭く細いくちばし。
カイルクは見た目もとてもかっこよかったんです。
なぜペンギンは樽体型に進化してしまったのか。
「かわいい系進化」はなぜ起きたのかを考えて見ましょう。
南半球の環境
1億2000万年前に南半球に移住してきたペンギンの仲間は、外敵のほぼいない南半球の好環境で、繁栄したと推測されます。
また、2300万年前のカイルクの生きていた時代のニュージーランドは、現代に至る前の地殻変動前。
陸地の面積は現代に比べると極端に狭く、ほとんどが海。
外敵もなく、海の中の魚を捕食していたペンギンは、空を飛ぶ必要性がなくなっていたのでしょう。
逆に、水中にもぐってより多くの魚を捕まえるために、ペンギンは進化しました。
泳ぐための太く大きな筋肉。
密度の高い骨。
飛ぶ代わりに泳ぐために、羽はどんどん小さく、短く進化していったのです。
体が樽のように大きく肉厚になったのは、より多くの熱量を蓄えるため。
この体型進化によって、ペンギンはより長い潜水が可能となりました。
ペンギンの泳力特化の進化
ペンギンは陸を歩いているときはヨチヨチしていて「かわいい」なんていわれてしまいますが、水の中では違います。
秒速2mのスピードで、魚を捕獲します。
また、潜水中のペンギンは、胃の中の温度を10度以上も意識的に下げていることがわかったんです。
より長く潜水し、より多くの距離を泳ぐために、胃の温度を下げて消費カロリーを抑えているというのです。
なんとも画期的な進化ですよね。
全身の温度を下げるとかえって泳力が衰えます。
泳ぐために筋肉をフル活用するために、泳ぎに影響の少ない内臓の温度だけを下げるなんて、とても効率的な進化です。
飛ぶ力を亡くしたのは「退化」?
飛ぶことのできない人間にとって、「空を飛ぶ」という能力は憧れの的です。
そんな劇的な能力をすてて、泳ぐ能力特化に進化したペンギン。
「その進化、いらなくない?」とか、
「飛べたほうがよかったんじゃ…」とか、
「それって進化?退化じゃない?」なんて失礼なことを考える人もいますよね。
そう、空という自由な空間での生息域を減らして、外敵が多そうな海中特化に変化することは、一見不必要に思える進化です。
便利能力を捨てて、凡庸な能力を取ったように思えてしまうんですよね。
しかし実はそうではありません。
恐竜に羽が生えて進化した鳥類が、今度は陸上と水中で活躍できるように進化したのです。
ペンギンの進化は、実は生物としても特殊でとても効率の良い進化の姿。
その理由について、以下に説明いたしますね。
「飛ぶ能力」の落とし穴
簡単に空を飛んでいるように見える鳥類ですが、実は飛ぶことには、ものすごくエネルギーを使います。
飛ぶために軽量化された体を持つとはいえ、それでも浮上するのにかかる消費カロリーは大量。
飛行能力のために、ものすごい量のエサを食べなくてはなりません。
しかし1億2000万年前に、北半球から飛んで南半球に移動してきたペンギン。
南半球はペンギンを捕食する外敵も少なく、ペンギンにとっての理想郷だったに違いありません。
エサの多くは飛ばなくとも、水中で簡単に手に入る。
そんな平和な環境下で、多大なエネルギーを消費してまで飛ぶ必要はなかったのでしょう。
「飛ぶ」という能力を捨て、ペンギンは変わりに、鳥類でありながら泳ぎに卓越した生き物へと、進化しました。
ペンギンは、飛ぶ能力に費やすエネルギーを、進化に費やしたのです。
ペンギンが空を飛ばない理由まとめ
- 南半球にペンギンを捕食する外的がほとんどいなかったため、飛んで逃げる必要性がなかったから。
- 南半球は地殻変動などで、現代のニュージーランドにはほとんど陸地がなかったため、エサは海中で仕入れていた。
- そのためペンギンは、飛ばずに海中でエサを取る形態に進化した。
飛ぶ能力を捨てる代わりに、南半球で行き抜くための「進化」にエネルギーを費やしたのが、ペンギンという存在。
ペンギンを「飛べない鳥」として馬鹿にしている人もいるかもしれませんが、環境に合わせて繁栄するために、進化に力を注いだ結果の今のペンギンなんです。
そう考えると、ペンギンは他の鳥類の一歩先を進んだ進化形であるとも言うことができます。
現代のペンギンは、人的環境変化によってその数を減らしています。
人間の支配するこの地球上で、再びペンギンが飛行能力を手にする時代が、また来るのかもしれません。
さいごに
陸上をよちよち歩くペンギンをみて、「これが飛んでいた時代があったのだろうか?」と不思議に思いますよね。
しかし、1億2000万年ほど前に空を雄大に飛んでいたペンギンたちは、現代の空飛ぶ鳥類のような形態をしていたに違いありません。
飛ぶために体重を極力落とし、腕から羽の筋力を凄まじく特化させた形態が、想像できます。
そんなペンギンが飛行能力の変わりに手にしたものを知ることで、ペンギンが進化の先端をいく生き物なのだと感じることができます。
現代の地球の環境を鑑みて、ペンギンが再び空を飛ぶ日が、もしかすると来るかもしれませんね。
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参照文献:平山廉著「生物進化・38億年の奇跡」